二人乗りの自転車はどこまでも行けたのさ

取り留めないことだらだらと

【感想】D.LEAGUE 23-24 ROUND.12「LAST PARTY」

ROUND.12、アルトリのLAST PARTYの感想です。

 

Legit vs KDがCSファイナルすぎてビビりました…。

アルトリは1:59:45からどうぞ。

www.youtube.com今回の煽りVも純平さんが担当。ジャングルクルーズの船長のようなイントロダクションで導入バッチリ!タモリ(ROUND.9)から陽気な探検家まで熟す純平さんの役柄の幅広さ…。アルトリスカーフは探検隊スタイルにもハマりますね。

そしてKiLiさんは今シーズン初出場!

カメラにいつ抜かれるかなんてそっちのけでお客さんにガオーッ!しながら入場。こんなかわいくてワクワクする入場ある???恐竜なのに恐くない。かわいい。

 

youtu.be

わ〜〜〜〜かわいい〜〜〜〜〜曲も元気でハッピーな感じだ〜〜〜〜かわいい〜〜〜〜かわ…か………………えっ ………?!?

そう「かわいい」で終わるわけがなかった、だってアルトリだから…!

元気に無邪気に生を謳歌するアルトリザウルスたち。5匹が生き延びたときは「えっ どうしよどうしよ まぁ…なんとかなるか」みたいに悲観的にはならずにすんだけど、3匹だけになると不安を抱えきれない様子。雨も降って寒い。その不安を振り払うように踊るけど、8匹だった頃と比べると動きが粗くなってて胸がヒヤッとなる…。でも曲はずっと変わらず元気…。

とうとうcalinザウルスとKarimザウルスだけになると、もう惑ったり悲しんだりする余裕すらないのかSu-ザウルスを見送りもしなかった。それぞれの恐竜の力尽き方が、徐々に衰えていく様子ではなく、決定打となるショックを受けたときのそれに見えるのが、かわいさとのギャップで不穏さが一層引き立つ。

最後まで生き延びたのは真っ白なKarimザウルスだった。白は「新しさ」や「始まり」を想起させる色なので、だから生き延びれたのかなと思ったり。光を浴びて肩で息をしながらほほえむKarimザウルス。「生き延びたからには生きていくしかない。」という温かくも冷たくもない不変の真理みたいな納得感がわたしの胸にはズンと残りました。

 

恐竜ベストを脱いだ7匹が、並んで後ろで踊っていたことの意味については答えがつかめずにいました。でもプラクティス動画で7匹がしっぽを外していたのを見たとき、「あ、肉と皮をなくして骨だけになった」とピンときて。

www.youtube.com

でもって恐竜が化石となった地層のうえに現代都市が築かれている楽曲ジャケットから、骨となって7匹が眠る大地のうえでKarimザウルスは生きていくんだ…と思えました。

linkco.re

ところで今回はLOOK BOOKがめちゃくちゃかわいい...!!生死という普遍的でシビアなテーマも含んだ作品でありながら、このポップなカラーとかわいさは何なんだ。表情やポーズから一匹一匹の性格も感じられてかわいい。Su-ザウルスが寒がりさんっぽそうだったり、KiLiザウルスはピンクのふわ毛が自慢のおしゃれさんで、雪乃ザウルスは日向ぼっこが好きなのかな、みたいな。

 
 
 
 
 
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www.instagram.comこの純平さんは眼差しやポーズが爬虫類ぽさある。

 

 
 
 
 
 
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www.instagram.comこの3枚目の、もう間もなく大きなくしゃみが出そうな絶妙な表情のGOさんが好きです。

 

 
 
 
 
 
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www.instagram.comTaraさんオレンジのリップ似合っててかわいいな。

 

ところで最近、電車の中吊りでこんなイベントを知りました。

dinosafari.jp

調べてみると、博物館展示以外でも恐竜のイベントや博覧会って各地でやってるんですね。いつかアルトリがゲストで踊ったりしないかな。

過去から未来への友泳− <『エリア過去』〜日食なつこを成したものもの〜>

qetic.jp

nisshoku-natsuko.com

日食なつこ初の展覧会「エリア過去」に行ってきた。

手書きの歌詞ノートやら過去のライブ衣装やらあれやこれやがお披露目されるということで、それはそれはもう楽しみにしていた。

会場のランプ坂ギャラリーは廃校になった旧四谷第四小学校跡地を利用したギャラリーで、地域住民の方々により運営されている。

www.yotsuya-hiroba.jp

レンタルギャラリーは都心にいくらでもあるけれど、地域色のあるロケーションから何とも日食さんらしさを感じてしまった。

 

会場のある小学校跡へ到着すると、自然と脳内で「廊下を走るな」が流れ出す。

youtu.be

 

校舎の階段を下り、地下にあるギャラリースペースへ。

 

 

まずは過去のライブ衣装が展示された楽屋フロア。

 

 

 

 

蒐集大行脚ツアーの垂れ幕と再会。

 

スマホのアルバムを探したらあった。

 

歌詞のメモなどが展示された「制作部屋」へ。

あの鸚鵡の仮面とも再会。

 

これもTwitterを探したら写真上げてた。6年前の時差呆け矯正ツアーのときの。ラストの「矯正完了!」の一声かっっこよかったなぁ…

 

 

 

 

紡がれる情景も旋律もひたすら美しくてせつないやえ。

 

youtu.be

コロナ禍で制作された音楽のすゝめ。

 

youtu.be

 

 

ヘールボップもあった…!容赦なく黒く消して、言葉を追い求めた跡がすごい。

 

 

open.spotify.com

私が日食さんを初めて知ったのは、たまたま、本当にたまたま、普段はタイムフリーでしか聞かないのに、たまたまつけたラジオから流れてきたヘールボップがきっかけだった。たしか篠原ともえさんの番組で、星にまつわる曲として紹介していた。一聴惚れだった。あの曲がこの紙片から生まれて、一リスナーの耳まで届き、その私が今この紙片を目の前にしている。何とも言い難くて、胸が熱くなる。

 

わたしの中で至高の発破ソングであるログマロープ。発奮レベルの高い歌詞に反して筆致はクールに見えた。なんと「まぐろ丼」が仮タイトルだったよう。

 

youtu.be

 

歌詞のメモはノートのほかに、手近にあった紙に急いで書き取ったものもあった。そちらのほうが、言葉を取り逃すまいとしてか強く荒く走るような筆致だった。

 

っは〜〜…!!となりながら眺めたメモ。言葉を貯蔵している.....。

 

会場のお客さんのなかには、実際に曲を聴きながら歌詞に見入る人もいた(音が漏れてた)。今ここでしかできない贅沢。

 

プライベートルームのフロアに入ると、プライベートの写真(L版サイズ)が壁面に貼り巡らされていた。日々の食事、空模様、自宅のピアノや家具、スタッフが撮ったとおぼしきオフショットたち。

さらに奥に進むと、日食さんが作成した日々の生活や音楽活動のVlogが上映されていた。楽屋での様子、ステージで歌う姿、自宅の雪景色が映る窓のそばでピアノを弾き歌う姿、台所に立つ姿などなど。日食さんて草刈機で雑草を刈ったり車のホイールを交換したりするんだ…と不思議な親近感が湧いた。刺激的で便利な都会の生活を手放した、日食さんの生活の手触りが感じられるフロアだった。

 

満喫しきったところで、さぁグッズを選ぼうと楽屋フロアへ戻る。

万年筆の試し書きのメモ用紙は「〇〇県から来ました!」などのメッセージや感想の寄せ書きコーナーとなっていた。komakiさんによる「komaki参上!!」の書き込みもありにんまり。

 

クリアファイル、花鳥域キーホルダー、フォトブックをお買い上げ。どれもかわいい。

 

名残惜しいけど帰るか…と階段を上ろうとすると、踊り場に、見慣れてないのに知っている後ろ姿がありギョッとした。日食なつこさん御本人である。会場のスタッフさんと話していた。絶対御本人だ……!!!けど、お忙しいだろうし気づかないふりしておこう…と脇を通り過ぎようとした。わたしは街中やイベント会場などで好きな人を見かけても、気づかないふりをする設定が固定されてしまっている。話しかける勇気がないからだ。今回もそうしようとした。しかしなんと「ありがとうございました」と日食さんから声を掛けてくださった。やっぱり御本人だった。足を止めて、涙が出そうなのを必死で堪えながら真っ白な頭で感想を伝えた。「本当に大好きで…」と聞いたことのないしおしおの震え声が自分の口から漏れた。こんな声出るんかいワレ。日食さんの楽曲に出会ってからこれまでの数年間、どれだけ背中を叩かれ、奮い立たされてきたことか。しっかり立ちながらも揺らぐことの大切さを教えてもらったことか。日常で目に映る情景の美しさを切り取ってもらえたことか。日常を離れて遠いところへ心を旅立たせてもらえたことか。嘘のないまっすぐな言葉の数々に支えてもらったことか。気持ちばっかり溢れて全く言葉にならなかった。

またライブに行けるのを楽しみにしてます、と最後に挨拶すると、両手で握手を求めてくださった。

 

最後にとんでもないサプライズが待っていたけれど、とても良い展示だったなぁと反芻しながら駅へ向かった。日食さんのこれまでの道のりを辿り、これからどこへ泳ごうとしているかの期待が膨らむ、過去と未来の両方がある展示だった。わたし自身も展示を見ながら、この文章を書きながら、過去を友泳できた。

15周年おめでとうございます!!アニバーサリーイヤー満喫するぞ。

 

 

 

 

【感想】D.LEAGUE 23-24 ROUND.8「Old Dancer」

Twitter(意地でもTwitterと呼び続けたい)に書きそびれちゃった感想です。今回もあまりダンスの話をしていません。

 

youtu.be「フーン」であごをしゃくってるGOさん好きです。

乾いたドラムとベースの音にTAKUMA THE GREATさんのラップ、っっっは〜〜〜〜渋くてかっこいい……グラスを傾けたくなっちゃうね、ボトル開けちゃっていいすか。

JUNさん帽子リレーのシーン、かっこよくて大好き。「それ寄越しな」みたいに帽子受け取って踊るCHIHIROさんかっけぇ…。ただ、BLUEコーナー「照明が暗くてダンスがよく見えないもどかしさ」VS REDコーナー「最小限の光でダンスのシルエットや仲間の存在を浮かび上がらせる見せ方のかっこよさ」のマッチが私の中で始まってしまう…。大体REDが勝ってたまにドローです。あえてはっきり見せきらないことのかっこよさってあるんだなぁ。

 

JUNさんのダンスもその風格もかっこよくて。若いJUNさんを再現する加賀谷さんの演技もダンスも素晴らしくて。もはや準レギュラーの奈央さんもリフトで華やかさを生んでくれて。こうした世代や経歴の異なるダンサーを迎えて作品を作れるアルトリ、その器と可能性の大きさに今回も痺れた。いろんな経験を積んだ人が来て、踊って、ときに顔すら出さず職人のように役割を果たしていくチーム。好きと興味がほんと尽きない。

 

意表を突かれたのが、この作品のテーマが「孤独」であること。

年を重ね孤独になった一人のダンサーが、写真を通して記憶の中の自分や仲間に出会い、本来の自分を取り戻していく物語 (パフォーマンス前の煽りVTRでのcalinさんのコメントより)

「おじいちゃん」でおなじみの22-23シーズンの作品「HANG OUT」の対極の作品のようにも映りました。HANG OUTは老人たちが仲間内で何と無しに集まる物語でした。

 

 

そして、楽曲のタイトルは「Solitary

linkco.re

英語で孤独を意味する言葉はalone、lonely、solitaryなど複数あります。

 

類義 aloneとlonely, solitaryalone は一般には他者がいない事実を述べ, 必ずしも感情的な寂しさを意味しない. lonelyはひとりで孤独・寂しさを感じることをさす. solitary〘主に書〙 で用いられ, 仲間がなく, ひとり[ひとつ]であることを強調する語.(ウィズダム英和辞典より)

 

aloneが抱え持つ孤独には「居場所がないこと」が下地にあり、lonelyのそれには「人恋しさ」があるけど、solitaryにはそれらがありません。また、solitaryの語義には群れないことや孤独を好む意もあります。孤独への肯定的なニュアンスを含んでいるのがsolitaryです。

 

このOld Dancer (JUNさん)は、自ら仲間のもとを離れ別の道を選んだのか、仲間が自分のもとを去ってしまったのか…。いずれにせよ、かつての仲間が今はそばにいないことへの孤独を募らせたダンサーなのではと思います。仲間と踊った時間はずっと消えないけど、その思い出話を共有できる相手もいないとさびしいよね…。

 

胸をグッと掴まれたのが、JUNさんが孤独であるままラストを締め括ったこと。仲間に囲まれて踊りながら照明が徐々にJUNへ絞られて、最後はピンスポットを浴びたJUNさんのソロで終わる。孤独である自分へとちゃんと還ってくる。これは孤独を解消する物語ではなく、孤独と共にあることを受容するまでの心の旅の物語だったんだなと。

 

JUNさんに照明が絞られて、暗がりで7人は何をしていたかというと、最後までそばでJUNさんを見てたんですよね〜〜〜〜〜〜!!「記憶のなかの存在だけど、あなたのことをちゃんと見てるよ」とでも言ってくれてるみたいで、プラクティスで涙腺やられました。勘弁してくれ…

youtu.be

 

そしてパフォーマンス後のcalinさんのコメント。

 

「この思い出ひとつあれば、将来なんも悲しくない、寂しくない、孤独になんかならない。ずっと幸せでいれます。」この言葉は一つの真実じゃないかなぁと思いながらうんうん聞いていました。

突然ですが私個人の話をしますね。わたしは今30代半ばですが、子ども時代、10代、20代、30代以降と、それぞれでライフステージのように孤独ステージがあったと感じています。一人でいることが好きでも、です。寂しさで潰されそうになったとき、本やフィクションの力を借りながら孤独と向き合うことを重ねた結果、「孤独や寂しさは常にあるもので、隣人みたいなものだ」とわたしの結論が出て、孤独がそれまでのように暗く冷たく重いものではなくなっていきました。以降、わたしが孤独と健やかなお付き合いをするうえで大きく有効だったのが「思い出」です。様々な事情で関係が途絶えたり、会えなくなった人がいても、その人との確かな思い出さえあれば、存在を近くに感じられる。一緒にご飯を食べたとか、楽しくおしゃべりできたとか、そんなささやかなことも十分な思い出で。人に、思い出に生かされてるな、と思うことがこの頃はすごく多いです。

このOld Dancerも帽子を通じていつだって仲間たちを近くに感じられるから、きっと大丈夫。20年、30年後、この作品はメンバーやファンからはどんな景色に映るんだろう。思い出でありながら、未来への贈り物のような作品でした。

【雑記】Dリーグ23-24 CYPHER ROUND

www.youtube.comサイファーラウンドめっちゃ楽しかったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉアーカイブはまだ全編は見れてないんですが、ラウンド当日の日記やら雑記やらを書いておきたくて書いています。

今年はスケジュールの都合もついてチケットも取れて、現地観戦できるのを本当に本当に楽しみにしてました。私は「楽しみ」が積載量オーバーすると一周回って憂鬱になる気質があるんですけど、この日はほんとそれでした。スタメンは発表済でもソロデュオトリオの組み合わせは当日17時発表のチームが大半だったので、生殺し感がハンパなかったせいもあると思う。のそのそ猫背になりながら険しい顔でフラッグやトレカホルダーをバッグに詰め、身支度して有明に向かいました。ゆりかもめで移動中に17時を回り、組み合わせをチェック。楽しみすぎて苦しかった。

 

席はB席バルコニー。センターステージのほぼ真横の位置。

 

B席はめちゃデカ高画質のビジョンでダンサーを見れるのがけっこう気に入ってます。視界いっぱいに映る大画面高画質の推したちは良い。スピーカーが近いから大音響も満喫できる。そしてお財布にもやさしい。それがB席。

この日は隙あらば応援うちわを映り込ませようとするアルトリメンバーが可笑しくって、マイクを持ってコメントしているメンバーの話が入ってきづらかったです笑 アイドルのコンサートにおける応援うちわの暗黙のルール(うちわのサイズをはみ出す飾りは禁止/うちわは胸の高さよりも上げない)をぶち壊している応援スタイルが、見たことない景色すぎて笑ってしまった。

センターステージを見てる間、メインステージも常に視界の端にあるので、ひな壇で応援するメンバーの様子もちらちら観察できて楽しかった。グータッチやハイタッチ、ハグをしてメンバーを送り出しているのが見えたり。aRBはひな壇の最上段でずっと総立ちで、VIは下手の袖まで横に広がって盛り上がってた。3rdサイファーの入場で、直也さんのはずがRENTAさんが先に入場してしまったとき、VIのメンバー全員が「っっおーーい!!!」みたいな感じでRENTAさんを指差しててちょっとおもしろかった笑

 

そしてこの距離からでも、自分のターンを待つメンバーの集中力がひしと伝わってくることに驚きました。とくに5thサイファーのcalinさんなんて入場はあんなにハッピーオーラ全開で駆け出してたのに、DJが曲をかけると音楽に入り込んで集中力を研ぎ澄ませてるように見えた。私はもちろん今踊っているダンサーに注目するけど、集中力をどんどん高めて音に没入していくcalinさんのオーラも気になってしまって、「calinさんのターンいつなんだろう…」と頭の片隅でそわそわしてた。そしたら颯希さんのターンの最中に、ひな壇のアルトリ応援席がCHIHIROさんを筆頭に突然ぶち上がりはじめたのが視界の端に見えて、「てことは…?!」と察知してから迎えたcalinさんのターンで私もぶち上がりました。かっっっっっっっこよかった…calinさんが踊ると、今掛かっている音楽も今この空間もぜんぶcalinさんのために用意されたみたいに活き活きしだして、calinさんてとてつもなくスペシャルだな…と惚れ惚れ。

 

 

今年のサイファーラウンドは、去年と大きくルールが変わった点が二つ。

・チームオリジナル楽曲の持ち込みはなく、DJがすべて選曲

・ダンサーの持ち時間は楽曲のカウントではなく秒数(60秒)

去年のルール↓

https://home.dleague.co.jp/games/season/22-23/cypher/

今年↓

https://home.dleague.co.jp/games/season/23-24/cypher/

 

私は今回のルールはす-ーーごい良かったと思ってます。来年以降はまたどうなるかわからないけど、この形式のサイファーラウンドとして物凄く楽しめました。

 

まずDJがすごく良かった。選曲めちゃくちゃ良くなかったですか…?プレイリスト作ってヘビロテしてます。

www.tunecore.co.jpバトル観戦になじみの薄いお客さんでも長丁場を飽きずに楽しめるように、あのDリーグのステージで映えるようにと考えられた選曲のように感じました。私はヒップホップにもダンストラックにも全く詳しくないし、バトルはときどき動画で見る程度で現地観戦は片手で数えるくらいしか行ったことないけど、そう思えました。Hinaさんなんて偶発なのか何なのか、楽曲のリリックとHinaさんのスタイル(ダンスもヘアメイクも衣装も全部!)との親和性が高すぎて、1stサイファー2人目で早くも「DJ選曲で大正解!!!!」の気持ちで盛り上がれました。5thサイファーの後半ではテクノやトランスの楽曲が続いて、大音量で体に響くもんだからトリップ感があった。音と照明演出が連動してるのもステージ映えがよかった。

 

DJ選曲になったことで、持ち時間がカウントから秒数になったのもよかったと思います。去年はダンサーが交代するタイミングがきっちりしていたので1人(1チーム)ずつ順番を区切って踊っている印象があったのですが、今年は途切れなく13人(13チーム)で一連のバトルとして観れたのが満足度高かったです。バトルのなかにストーリーを感じました。

SWAYさんの足元あたりに1分のカウントタイマーが設置されていて、ダンサーが踊り出したのを見たステージ上のスタッフ(MATCH COMMISSIONERのシャツを着た人)が合図を出し、タイマーをスタートさせてました。なのでターンが回ってきたダンサーがノリながらステージを周ったり、客席を煽ったり相手を挑発したりする時間も今回だから生まれたんですよね。逆に1分めいっぱい使わずに、自身のよしとするタイミングで踊り終わることもできた。

2GOOさんが客席を指差してクラップしてくれたの楽しかったな。お客さんみんなクラップしてた。長丁場なので思わずあんな時間があると嬉しくなる。

 

カンタローさんの「バトルが多くなると、レギュラー契約にはバトラー専門を契約することも増える可能性もあります。」のポストで思ったこと。通常ラウンドのショーケースでは、メインを担ったりしない限り、ダンサーひとりが目立つ見せ場はわずか数秒だったりします。ショーケースではアピールしきれない、ダンサーの個性や持ち味を披露してもらえるのが、私がサイファーラウンドに期待していることの一つなんだなと気づけました。

「バトルが増えることで、バトラータイプのダンサーの加入が増える」可能性の示唆については、現時点では私個人は意見がとくに浮かばないんですけど、それぞれのチームの「うちのメンバー、こんなに凄いから見て!!!」をじっくり見れる機会はサイファーラウンドだよなぁと思っています。去年はとくに、SHOさんの「視聴者みんなに見つかった」感が凄かったと思うんですよ…。

「こんな踊りをする人だったんだ…!」と今年のサイファーで発見できて嬉しかったのはYukicheruさんとCHIKAさん。Yukicheruさん、腕脚が長っがい…手指も長っがいから指先のちょっとした仕草も説得力がすーーごくて、AITOさんをシッシッしてからenaさんを挑発してはけるまで始終チャーミングだった。なめらかさとダイナミックさが共存してて、細っそいヒールでアクロバット攻めまくってるの信じられなかった。CHIKAさんは一音目をガッと掴んだ踊りだしで会場も私もワッと沸いたし、ソリッドな質感とパッションが織り交じったJAZZスタイルな感じがすーーごく好きでした。強くて凛々しい表情も素敵だった。ターンしながらJUMPEIさんへと移動して、微笑みながら引き込んではけていくのもエレガントでかっっこよかった…

 

youtu.be私にとってのこの日のハイライトは、5thサイファーのKEINさん。KEINさんのHOUSEが本当に大好きなので…。20-21シーズンの後、退団のニュースを知ってPCの前でしょぼくれてた私にタイムマシンで会いに行きたい。「何とは言わん!!!3年待て!!!そのままDリーグを追っていい!!」と背中をバッシバッシ叩いてやりたい。Dリーグにカムバックのみならず、サイファーラウンドでソロを任されるなんて。

まず入場のときに、カメラに抜かれると他チームのメンバーを拍手で見送っていて、名前を呼ばれてから「お 俺か。」と気づいてカメラを向いて悠々と歩いてくるのが余裕ありすぎてかっこよかったですね…

颯希さん→calinさん→KEINさんという強強なメンツの並びだったのも、熱が上がるしかなかった。曲中でも強いフレーズのときにターンが回ってきたので、アグレッシブなムーブが大変大変かっこよかった。「KEINさんかっけ〜…!!!」の興奮と「SEIYAさんKEINさんを誘ってくれて本当ありがとう〜〜〜!!!」の感謝の念で感情がごった返してた60秒でした。

 

終演後はアルトリファンのみなさんで集まって、フードコートで感想会をしました。この時間も現地の大きな大きな楽しみです。トレカ交換したり買ったグッズを見せ合ったり。Dリーグの現地観戦はものすごい気力体力を使うので出発前に必ず腹ごしらえをするんですけど、この日は通常ラウンド以上に腹ペコでした。ビビンバと冷麺のセットを吸い込むように完食したけどおかわりしたかった。

 

帰宅して、ガチャで当たったYU-KIさんを本棚の適当なところに置いたら、タイトルと表情が妙にマッチしてしまって笑った。YU-KIさんTaichiさんのデュオもめっちゃよかったな…安定感あって楽しげで…

23-24シーズンのサイファーラウンド、昨季以上のとびっきりの熱と興奮をありがとうございました!!!

2023年出会えてよかったもの【買って使って聞いて遊んで】

あけましておめでとうございます。年も明けて1週間以上経ってしまいましたが…年の瀬になるとよく見かける「今年買ってよかったもの」系の記事を書いてみたかったので書いた次第です。

日用のアイテムに限らず、ポッドキャストYouTubeやらゲームやら何でもごった煮です。「2023年はこれに出会えて、ポジティブな変化をもらえたな」というものをまとめてみました。

 

ワセリズム 保湿バーム

20代後半の頃はスキンケアに張り切っていて、基礎化粧品のライン使いはもちろん、毎晩せっせとシートマスクをするなどしてた。けど手を掛ければ掛けるほどかえって肌がピリついて、肌の地力が弱っている実感があった。

朝は化粧水と乳液、晩はそれに美容液や保湿クリームをプラスする生活を数年送ってきた。昔と違い今の私はスキンケアにさほど趣味性がないので「肌質維持のためには一生毎朝晩この工程を続けて、3〜4アイテムも常備し続けないといけない…?!」とふと気付いた瞬間、「だるい!!!」と心が野太く叫んでしまった。

アイテム(=工程)を減らしたい一心でスキンケアについて調べ、本を読んだりした結果、「最良のスキンケアはとにかく保湿と睡眠」「肌には極力触れない」という結論を掴んだ。そして保湿クリームを探しては試し、「これだ〜!」と満足できたのがワセリズムだった。

テクスチャーはニベア青缶とバームの中間くらいの固さ。肌なじみが良く、保湿性もとても良い。朝は洗顔をしたらこれ塗って終わり。夕方までしっとりしている。夜は美容液とオールインワンジェルに切り替えて、化粧水と乳液を使うのはやめた。ケアが格段に楽になった。

 

コーセー メイクキーププライマー

 

最寄駅のドラッグストアに突如現れたTaichiさんとNaoさん。開幕シーズンからDリーグを観てきた身としてはこんなん嬉しくて買うじゃないですか…。
私は特級テカリ師なので「テカらない!」を謳っている下地であってもテカってきた。テカリを抑えるのをとっくに諦めている。ところがこの下地は宣言通り見事に抑え込んでみせた。今まで「テカー!!!(大フォント)」だったのが「テk........(囁き声)」くらいになった。朝から晩までしっかり抑えてくれる。人前でマスクを外すのも怖くなくなった。サラッとした塗り心地なので、Tゾーンにだけ塗って他は保湿重視の下地を塗ってます。

Ririmew インザミラーアイパレット

2023年頼りきりだったアイシャドウ。小粒なラメの穏やかなキラキラ感が気に入っています。ラメはアイホールの中心にポンポン置くのも、目の下を囲ってもかわいい。

 

aRB ポーチ

royalbrats.base.shop

夏のaRBワンマンで買ったポーチ。マチが広くてとにかく収納力高し!口もガバッと開くので取り出しやすい。職場の文房具ケースとして使ってるんですが、ペンにハサミに穴あけパンチにブロック付箋と、とにかく何でもポイポイ入るので重宝してます。買ってよかった。ワンマンもどえらい楽しかったです。パフォーマンスはもちろん、会場全体の空気感も含めてとても良かった。来年もぜひ行きたいな。

aRB トートバッグ

royalbrats.base.shopこちらもaRBワンマンで購入。そもそもがショルダートート持ってない民だったので、このトートが普段使いバッグになってます。近所の買い物でも、遊びや旅行に出かけるでも、ダンスレッスン通うでも、いろんな場面で使ってます。デニム風の生地なので何着てても合わせやすい。たっぷり入って内ポケット付きなのもとても良いです。

 

タッセルイヤリング

2023年は大ぶりのイヤリングを導入したくて、ECサイトを眺めることが多かった。これは完全にアルトリのcalinさんの影響。大ぶりのピアスがいつもおしゃれで本当によく似合っているので...。それまでは大ぶりのアクセサリーがこんなに気になることはなかった。

なかでもタッセルが気になっていて、糸さえ入手できればチームカラーのタッセルイヤリングをワンチャン自作できるのでは?と思いユザワヤへ向かうと、ずばり求めていたオレンジとピーコックブルーがあった…!

↓手持ちのFrancfrancのイヤリングを参考にパーツを買い揃えて、

ミア イヤリング タッセルA | Francfranc(フランフラン)公式通販 家具・インテリア・生活雑貨

思いの外かわいく出来て大変満足してます。

今も大ぶりイヤリング探しの旅は続いている。年始もさっそくタッセルイヤリングを買った。

 

カップウォーマー

アマプラセールのときに購入。我が家は単身世帯のわりにマグカップが多い。どれも貰い物のお気に入りで、その日の気分でスタメンを決めている。なかには保温性がいまいちなものもある。ウォーマーを導入してからは、カップを選ばず温かい飲み物をずっと温かいまま飲めるようになった。朝淹れたココアを日が暮れても熱々のままちびちび飲めて最高。夜は焼酎お湯割やホットワインなどを置いている。

 

TBSラジオ 安住紳一郎の日曜天国

www.tbsradio.jp

ある日からYouTubeのおすすめにやたら現れるようになった日曜天国。まったく心当たりがない。しつこいくらいの頻度で現れるので観念して再生してみた。

安住アナの、アナウンサーのトーンを保ちながらのウィットに富んだトーク。軽妙でちょっと陰気と毒気のある語り口。落語家のような人物の演じ分け。中澤さんの温かく癒しオーラ全開の合いの手。そしてリスナーさんの洒落の効きまくったお便りが可笑しすぎて、一気にハマってしまった。

2023年は本当にこの番組にたくさん笑わせてもらった。エンタメを享受する気力がほぼゼロだったので、見知らぬ誰かの特別ではない日々の生活のなかから生まれる笑いに本当に救われました。

安住アナご結婚おめでとうございます!

おすすめをいくつか載せておきますね。

open.spotify.com

勘違い話とよそのお母さんのエピソードってもれなくおもしろいよね…

open.spotify.com

open.spotify.com

散骨イラストレーターも外せません。

open.spotify.com

www.nagayamay.com

 

 

竹脇まりなさんの顔体操

youtu

 

youtu.beわたしの頬筋は硬い。乾いて硬くなった大福が頬の中に入ってる感じ。笑ったときに頬が思うように持ち上がりきらない。頬筋をがんばってグッと動かさないと笑顔にならない。この硬さをなんとかしたくて、顔体操をやってみることに。でっかいフォントで視聴者を盛んに応援してくれるので、途中キツくなってもがんばってやり通せた。

9月の無職期間中にこの体操を毎朝のルーティンにした。3週間くらい経った頃、がんばらなくても頬が持ち上がるようになり、笑顔を楽に作れるようになった。それとダンススタジオの壁面の鏡で自分の顔を見た時に、口周りの影が以前より薄くなっていて、顔の力を抜いても口角が自然とすこし上がっていた。これは嬉しい。今では家事をしながらおうおういういう体操するのが習慣になった。

 

Sea of stars

seaofstarsgame.co

youtu.be90年代JRPGへのオマージュとリスペクトが込められた、懐かしてくて新しいRPGスーファミRPGで育った世代なので、トレーラーが発表されてから発売が待ち遠しかった。

9月の無職期間中はのめり込んでプレイした。先が気になるストーリーなので止め時がわからず、昼も夜もぶっ通しでプレイしてられた。

まずピクセルアートのグラフィックが美麗の一言。色彩も陰影もとても精緻に作り込まれていて、フィールドを歩きまわるだけでも幸福感があった。民家の間取りや家具や小物類、風で揺れる草木なんかも、温かみがあっていちいちかわいい。キャラクターの動きやふとした仕草もとてもかわいらしく、ストーリーの進捗に応じてパーティーキャラの顔グラが変わるのも昔のRPGぽくて懐かしかった。

フィールドにはここぞという絶景スポットが随所にあるので、各国のプレイヤーがTwitterにアップしているスクショを眺めては「その場所良いよね〜!撮るよね〜!わかる〜!!」と呻くしかなかった。

 

キャラデザのBryce氏のイラストもどれもこれも素晴らしかった…。フィジカルで設定画集出ないかな...

 
 
 
 
 
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youtu.be音楽もとても素晴らしかった。12月にやっとサントラがサブスク配信されて、ひたすら聴いてる。フィールドや街の音楽には昼と夜のバージョンがあり、一部の楽曲にはバードコア*1のバージョンも。音楽サイトの気合いの入りっぷりも凄い。インディーゲームでここまでするのかと…。

audio.seaofstarsgame.co

 

2024年は何に出会えるかな。思いがけない出会いも良いけれど、2024年は有形無形に関わらず自分が何を望んで欲しているかをよく聴いて、探し求めて吟味して、ちゃんと選びとる、ということもしていきたいです。2023年はその体力が落ちてたな〜とも思うので。

今年もどうぞよろしくお願いします。

*1:2020年に発生したインターネット・ミームであり、ポップスのヒット曲をヨーロッパ中世風にリメイクするという音楽上の動きである バードコア - Wikipedia

【雑記】Dリーグ23-24 気になるダンサーなどあれこれ

23-24シーズン開幕前に考えたことなどを書き散らかしている回です。

 

各チームの新体制が発表されていくなか、声がひっくり返ったニュースはKEINさんのカムバックだった。

 

KEINさんはRAPTURESの創立メンバーで、20-21シーズンに所属していたハウスダンサーだ。

20-21シーズンのRAPTURESは、男性メンバーのKEINさん、優弥さん、YOUTEEさん(21-22シーズンより8ROCKS所属)、AITOさん(21〜23シーズンはBATTLES、23-24シーズンよりMESSENGERS所属)、RAIKIさん(21-22シーズンにBATTLES所属)、の5人中4人がハウスダンサーで、当時ここまでハウサーが集中しているチームはRAPTURESだけだった。

Dリーグ最初のハウスダンス作品は、同シーズンのROUND.3で披露された「REFLECTION」だった。KEINさんのソロで幕開けする作品だ。

Dリーグ公式が過去作品をYouTubeから非公開にしてしまったので(大声の早口)、代わりにBTSを貼っときます。

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Dリーグアプリの方で作品が公開されたら、ぜひたくさんの人に見つかってほしいと願っている作品だ。

私がハウスダンスを観たのも知ったのも、この作品が初めてだった。

クイックに脚を捌き、宙を舞い、終盤では軽やかなユニゾン。速い4つ打ちに鍵盤がキラキラと跳ねる曲調のおしゃれさとかっこよさ。ステップワークを中心に魅了するダンスもその音楽も、どれも初めて触れる世界だった。私は鍵盤の跳ねるハイテンポな曲が大好物なのもあり「踊ってみたい」と一目で思った。この作品がきっかけで、のんびりしたペースではあるがハウスを習っている。

 

 

また、KEINさんはDリーグの楽曲にも携わっている。RAPTURESの20-21シーズンROUND.1の作品、「Be The One」の作詞はKEINさんが担当した。

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ROUND.12の「What makes us dance」では、作詞と歌も担当した。

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RAPTURES退団後は、21-22シーズンのROUND.12でBATTLESのSPダンサーとして参戦。作詞と歌に、ジャケットデザインも手がけた。

 

 

 

 

 

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KEINさんはフロアムーブを織り交ぜたスタイルがめちゃくちゃかっこいいので、フットワークの多彩なINFINITYSとは相性バッチリなのが想像できる。でも、昨季のINFINITYSの作品を頭に浮かべたとき、あそこにハウスの要素が加わった姿はなかなか想像がつかない。INFINITYSの作品性はもちろん、楽曲の幅も広がるのではと期待が膨らみっぱなしだ。ゴロゴロのたうち回るくらい楽しみにしてます!!!!

 

 

 

話が変わって、オフシーズン中に配信されたROUND.0

youtu.beここでは各チームのディレクターがファンとの公約をプレゼンするMTF(Message To Fan)というコーナーがあった。

具体的な公約をしっかり述べたFISHBOYさんと、言葉のひとつひとつに力を込めて伝えたMIZUEさんのかっこよさにグッときた。

私自身も、公約なんて大仰なことではないけれど、Dリーグを観ていくうえで心に留めておきたいことがひとつある。「敗北に負けない」ことだ。

作品が披露されると即勝敗が着いてしまうDリーグ。かっこいい、素敵だと感じた作品が、大好きなチームが、"その勝負では"負けてしまうことはザラにある。それでも作品から受け取った感動は、出来る限りフレッシュなままで敗北から守り切りたい。良い作品だったと、心打たれたあれこれを語っていきたい。

 

22-23シーズンのCSで、「対戦相手に勝てる作品であるかどうか」という視点で私は作品を観てしまっていた。レギュラーシーズンとは異なり、CSのステージは負けたらそこで終わり。いつにも増して「勝負」の色が強く濃い空気に、煽られ呑まれてしまっていた。品定めをするような目で作品を観てしまい、レギュラーシーズンと比べると作品の世界観を楽しめたとは言えなかった。よりによってCSでDリーグの面白さを自分で損ねていたことをすこし悔いている。「勝負」に高揚はしても呑まれず、敗北に負けずに、Dリーグを目一杯楽しみたい。

22-23シーズン アルトリ作品のテーマに関連しそうな本を紹介してみたよ

「負けませんアルトリーー!!」
calinさんの叫び声がガーデンシアターに響いたとき、アルトリが開幕戦を勝利で飾ったことへの歓びと、今季のアルトリへの期待感で胸がはち切れそうでした。

22-23シーズンも、アルトリからは期待以上の、抱えきれないほどたくさんのものを貰いました。たくさん笑ったり、興奮したり、ゾッとしたり、うっとり魅了されたり、ときに戸惑ったり、涙ぐんだり。どれだけ心も体も動かされたことか。崩れないようにギリギリの気持ちで何とか立っていた時期に、手を繋いでもらったような感覚をくれた作品もありました。

同時に、作品を通して渡されたものもあります。アルトリの意義であり作品の肝である「社会課題」です。
純粋にダンスをダンスとして楽しんで観ることもできます。でも、メンバーがダンスを磨くだけでなく、作品作りをとおして課題に向き合う過程も目にすると、受け手として私も向き合い、考えてみよう…という気持ちに自然とさせられるのです。
取っ付きやすい、共感できる、といったものに行動基準を任せず、自分からは遠い事柄であっても、そこへ思いを至らせながら理知的に生きるにはどうするのがいいだろう…と考えるようになりました。
みなさんは今季のアルトリから何を受け取りましたか?

 

この記事を書いた経緯

CSが終わってしばらく経ったある日、家の本棚をぼーっと眺めていると「あ、あの本ってあの作品のテーマと繋がるな」というのが何冊かありまして。作品と我が家の本とのつながりを発見できたことに「おっ」となったんですよね。そして「この本たちを紹介する記事を書いてみたい…」という思いがむくむく膨らんできました。

しかし専門家でも何でもないただの一般ファンが、社会課題に触れた本を紹介するとかさ…「学べや!!」って押し付けてるみたいで説教くさくない…?と躊躇があったので「需要あります?」と思い切ってTwitterで伺ったところ、嬉しいことにファンの方から反応を頂きました。よっしゃやったろ!とこの記事を書けた次第です。反応くださった皆さん、背中を押してくださりありがとうございます!

というわけで、私の本棚とKindleライブラリという狭い範囲からにはなりますが、22-23シーズンのアルトリの作品テーマ、またはその要素を含んだ本を紹介していきます。大半が紹介というより私の感想になっちゃったんですけど、そこから興味を持ってもらえたらいっか…と思い書ききりました。シーズンの半分の作品しか書けませんでしたが、どれも心からおすすめできる一冊です。

また、Twitterで伺ったときに10代らしい方からも反応を頂きました。なので、背伸びの要らない、ページが進みやすい文体の本を選んだつもりです。反応くださった方、ありがとうございます。背筋の伸びる思いでした。 

 

 

 

TGIF

 

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youtu.beファンからもDリーガーからも大大大好評を博したTGIF。開幕戦の大トリをゴキゲンにハッピーに彩ってくれました。テーマは「花金」

YouTubeでのROUND.1振り返り配信で、量さんはこの作品を作ったきっかけに「コロナ禍」があったことをお話しされていました。コロナ禍で、人が集まり飲むことがなかなかできない。楽しい飲み会や集まりができる未来がやってくるように…という想いから制作に至ったそうです。
心浮き立つ作品の背後に、そうした祈りみたいなものが込められてたとは…と意外な気持ちでした。そういえばROUND.1の時点では、まだ声援NGでしたね。(ROUND.4からマスク着用を条件に声援OKに)

「コロナ禍」、そして「花金」つまりは「花金を楽しむ人=日ごろ働く人々」という点からつながりを感じたのがこちらの本。

 

仕事本(左右社/2020)

 

2020年4月に発令された緊急事態宣言。さまざまな世代の、さまざまな職業の人たち77人の日記を集めた本です。
緊急事態宣言という状況下で、こんなにも多種多様な人たちの手記を一冊に記録した本は珍しいと思います。2020年4月を舞台にした群像劇のようでもあります。「○月△日(月)」という日付の記述にすらも、一人ひとり性格が滲み出ていて面白いです。直接は関係していなくても、私たちのすぐ隣りで日々を営む人たちに会える一冊。
タイトルこそ「"仕事"本」ですが、「仕事」はつまるところ日々の営み。緊急事態宣言下という非日常を、不安や苛立ちを抱えたまま、ときに折り合いを付けながら、何とか「生活」をした記録が綴られています。
目次を開いて、興味のある職種の人から読んでいくのもおすすめです。

みなさんは緊急事態宣言下、どう過ごしてました?

 

WIND

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youtu.beにぎやかなROUND.1とは一転、全くの別世界へと引き込んでくれたWIND。
ROUND.2のあとに自分なりに読み解きはしてみたんですが*1、今作品を見返すと当時とはまた感触が違ってきますね…。

 

この読み解きをしていたなかで、量さんのあるコメントが胸に残っていました。
こちらの投稿です。

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”全ての人々は数奇な歴史の物語を経て、今に辿り着いている”

この意図に通じるのでは…!と感じた本がこちら。

 

だれが歴史を書いてるの? 歴史をめぐる15の疑問(ピエルドメニコ・バッカラリオ、フェデリーコ・タッディア/太郎次郎社エディタス/2022

だれが歴史を書いてるの?|太郎次郎社エディタス

イタリアの作家による「歴史的な考え方」についての本です。
というと堅苦しく聞こえるけど、この本、マジですごいんです…すげぇなすごいんですよ…。何がすごいかというと、日本版監修者のあとがきに詳しく書かれてるのでちょっと抜粋しますね。
これから初めて読む方も、まずあとがきからページを捲ってみてください!

 

この本は、ひと言で言えば「歴史的な考え方」について書かれたものです。なんだか難しそうですね。そうなんです。だから、こういう本は、大学生向けに書かれることがほとんどです。それも、歴史を学ぼうとする大学生向けに。

たぶん、小学生くらいの、ほんとうに若い人たちのために、このようなことを書いた本は、まずありません。(中学生、高校生向けにだってないでしょう。)だって、難しいことをわかりやすく書くのは、すごく難しいことだから。

でも、この本はその難しいことに挑戦して、なかなかうまくいっている。高度な内容を、やさしいことばで、身近な例を使いながら、しかも、歴史に関心のない人でも、気軽に読めるように書かれている!こんな本はなかなか見つからないと思います。

「歴史に関心のない人でも、気軽に読めるように書かれている!」←ここ!ここです!この本の文章はすべて口語体で、気さくな親戚のおにいさんの話でも聞いてるような感覚で読めちゃいます。そんな語り口でありながらも、とても根源的な問いにグイグイ踏み込んでいくんです。

「人はなぜ情報を集め、知識を得るの?」
歴史学者って何してる人?」
「権力って、なに?」
「歴史ってなんでつまらないの?」←!!

私はこの本をパタンと閉じたあと、学校で歴史を習うタイミングでこの本に出会えた若い人たちが本っっっ当に羨ましくてブっ倒れそうになりました。
子どもの頃の私にとって、歴史は「学校の教科」「学問」というカテゴリーでしかなく、歴史上の人物、地名、王朝…あらゆる単語や名前はテストで答えるために暗記するだけの記号でした。
この本では「歴史とは物語である」ことを、一冊(本文は142ページと薄い本です)かけてあらゆる角度から説いてくれます。それが歴史と向き合い、歴史を読み解く際に立つゼロ地点であることを、意識の底に根付かせてくれるんです。
私には記号にしか見えなかったものたちにはすべてに物語があり、人の人生があり、血の通っていないものなんて無いのだと、視界をカッと開かせてくれました。

WINDの楽曲であるcultureの歌詞に「The culture is made by the people not the government」という一節がありますが、それをひしと感じる歴史エピソードも満載。
これから歴史を習う人、今習っている人、そうでない人にもおすすめの一冊です。

 

VALUE

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youtu.beすべての創作者の矜持のような想いが詩に込められていたVALUE

コンテンポラリー主体の作品を踊るのは、Dリーグで初の試みでした。

VALUE=価値 ということで、「価値づけ」についての本を紹介します。

 

批評の教室 ──チョウのように読み、ハチのように書く(北村紗衣/筑摩書房/2021)

タイトル通り、ずばり批評のやり方を一から解説した入門書です。

まず批評って何?の問いについては次のように説明されています。

『面白かった』でも『よくわからない』でもいいので、作品に触れて何か思考が動き、漠然とした感想以上のものが欲しい、もう少し深く作品を理解したいと思った時に、思考をまとめてくれるのが批評です。

 

そして、批評の果たす大きな役割として次の2つを挙げています。

  • 解釈:作品の中から一見したところではよくわからないかもしれない隠れた意味を引き出すこと
  • 価値づけ:その作品の位置づけや質がどういうものなのかを判断すること

 

私はこの本を、批評するためというよりも、作品を読解して楽しむうえでの手引きとして参考にしています。読解の過程には、解釈と価値づけが関わってくるからです。対象となる作品はアルトリやDリーグに限りません。シーズン中も折りに触れて読み返していました。ちょっとその話をこれからさせてください。

まず批評をするには、何が必要でしょうか?当然ながら、作品をしっかり観る(読む)ことです。
しっかり観る(精読する)ためには、すべきことがいくつかあります。
本書に書かれている例を挙げると…

 

  1. タイトルやセリフに知らない単語があったら辞書を引く

  2. 作品内で起きている事実を正しく認定する(誤認しない)

  3. バイアスを認識するために、自分の性的な嗜好(not指向)や趣味を冷静に把握しておく

  4. 作品が生まれた文化や歴史的状況をある程度理解しておく

 

こうしたプロセスが、アルトリの作品に潜っていくうえでもすごく助けになってるんです。
1は作品の入口に立つための第一歩ですし、2では作品内でどのメンバーがいつ何をしているか、何が起きているかをちゃんと認識します。3は自他の「好み」に振り回されないためにめっちゃ大事です。4を意識すると、TGIFは背景にコロナ禍があったことや、VALUEはDリーグ向けにコンテンポラリー作品を初めて披露したという文脈があったことが見えてきます。

 

…というように、作品を読み解いたり、理解を深めたりするのに必要なプロセスが「批評」の過程にはあるんですね。
これをすると何が良いかというと、私個人の実感としては、巷のレビューやSNSに書かれている感想に寄りかからず、主体的に作品の価値を見定めようとする姿勢が身につきます。そして「受け手」としての自覚がめっちゃ育ちます。世間の評価はひとまず置いて、自分が作品を通してどんな体験ができたかにフォーカスしやすくなります。作品ならびに作り手への理解や想像も深まります。

またこれが一番、何よりの効能ですが、楽しいです!!!!!何がよかったのか、何が面白かったのか、何が気になったのか…掘って明らかにしていくのは楽しい。それを感想にまとめてシェアするのも楽しい。面倒で大変なときももちろんあるけど。私にとっては作品を自分の栄養にしていくための、出来れば確保しておきたい大切な時間です。

この本では「価値づけ」の効能について次のように書かれています。

 

価値づけというのは批評にとって地雷原に突っ込むようなものです。そんなものを考えて何が面白いのかとか、〜(中略) 作品をけなすと作者のファンから攻撃されるとか、世の中にはいろいろと価値づけをやりたくなくなる理由があります。


しかしながら、私は価値づけ、つまり作品の位置づけや質がどういうものなのかを判断する作業というのは批評の中でも楽しいプロセスだと思っています。何か作品に触れた時、面白かったとか面白くなかったとかいう感想が生じます。なぜ面白かったのか、どういうところが面白くなかったのかを考え、その根拠を明らかにして他の人と共有するのが私にとっての重要な価値づけのプロセスです。作品自体がちっとも面白くなくても、この価値づけのプロセスが面白ければ、作品から楽しみをもぎ取ることもできます。

 

もちろん、楽しみ方はひとつではないので、なんにも考えずに頭をからっぽにして楽しみたいときもあります。この楽しみの体験も素晴らしいもので、深く考えながら作品を楽しむ方とは優劣はつけられません。…ということも書かれています。ものすごく同感です。
それを踏まえたうえで、「深く考えながら楽しみたい」ときの手順を、わかりやすく解説した一冊になってます。

 

Shantay

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youtu.beジェンダーレスをテーマに掲げた作品。後のROUND.11では、対戦相手のMONOLIZがこの作品に応えるかのようにballを再現した作品*2をぶつけてくれたことも含めて、22-23シーズンではとても印象深い作品でした。

 

胸の痛みと憤りが絶えないことですが、「その人がその人らしく自由に生きる」ことを阻む障害が社会には溢れかえっており、それを取り除こうとしてもステレオタイプやら古い慣習やら政治やらのせいでずっしり重くなっちゃっててなかなか動かせないのが現実です。自分自身や誰かの人生の自由を阻まないためにも、ジェンダーを学ぶことは不可欠だと感じます。

ということで、ここではジェンダーの入門書の紹介です。

ジェンダー関連の書籍は数多くあり、扱うテーマも細分化してきています。研究者の著書もあれば、セクシュアルマイノリティ当事者の手記もある。
私は昔、セクシュアルマイノリティであることをオープンにしている人と知り合ったことがきっかけで「まずい、何も知らんぞ」と焦りジェンダー関連の本を読むようになったのですが、始めはどれから読めばよいのかわかりませんでした…。(素直に興味の引かれた本から手に取るのも全然アリとは思いますが)

ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた――あなたがあなたらしくいられるための29問(一橋大学社会学佐藤文香ゼミ生一同/明石書店/2019)

よくダンス教室は「超入門」「入門」「初級」…というふうにクラス分けされてますよね。帯にもあるとおり、ジェンダーの「超入門」の本がまさにこちら。

この本はジェンダー研究のゼミに所属する学生が、ジェンダーに関する29の質問に答えていく、Q&A集の構成になっています。
29問すべて、実際に学生本人が家族や友人、知人らから投げかけられたものです。どんな問いかはこちら↓の目次から見れます。

ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた - 株式会社 明石書店

きっとみなさんにも、一度は浮かんだことのある疑問が並んでいるのではないでしょうか。日常のなかにある問いを入り口として「そもそもジェンダーとは?」「LGBTとは?」「フェミニズムとは?」という概念の基本から学べますし、さらに深い議論を聞くこともできます。
問いのなかには、裏を返せば「思い込み」のものもあります。その思い込みを抱かせている社会構造を問題化して捉え、考えるきっかけ与えてくれます。

 

何よりこの本の唯一無二の特徴は、大学生が大学生の視点で執筆したことです。ジェンダーについてこれから知り、学ぼうとしている人へ向けて、丁寧に順序立てた読みやすい文章になっています。

参考文献もたくさん載っているので、次の一冊へと橋渡しもしてくれます。

 

あとLGBTについて、基礎、法制度、市民生活、ビジネス、科学…などなど、さまざまな分野から広〜〜く概観できる一冊としてこちらもおすすめ。

図やイラストも豊富で、気になるトピックから気軽に読みやすいです。

 

 

Daydream

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youtu.beテーマは「海洋プラスチック問題」

地球規模のあまりに甚大な問題。実態を知れば知るほど、目に飛び込んでくるスケールと数字の大きさに途方に暮れます。が、日々できることをやっていくしか…!まずはプラスチック製品の消費を減らすことから。

脱プラスチック データで見る課題と解決策(日経ナショナル ジオグラフィック /2021

本書には不快な数字や絵があれこれ出てくるが、あなたを絶望させることが私の本意ではない。行動のきっかけを作ろうとしているのだ。本書はあなたのプラスチックの使い方を分析し、減らしていく方法を伝授する指南書となるだろう。

 

ナショジオなので何と言っても写真と図が豊富!パッと視覚的にわかりやすい!海洋プラスチックも含めた、プラスチックごみ問題の現状把握にぴったりの一冊です。

プラスチックの歴史、製造から廃棄までの環境への影響、問題の解決策の提案まで、幅広く網羅しています。

 

日本国内でのプラスチック海洋汚染についてはこちらが詳しいです。

 

プラスチック・フリー生活 今すぐできる小さな革命(シャンタル・プラモンドン、ジェイ・シンハ/NHK出版/2019)

本書は、プラスチック・フリー生活のガイドブックとして、生活のあらゆる場面でプラスチックを減らすための参考にしてほしい。でも、くれぐれも問題の根深さに圧倒されたり、できることの多さ─あるいは「すべき」と感じることの多さ─に途方に暮れないでほしい。なぜなら、めざすゴールは罪悪感ではないから。だれもがそれぞれの生活でできることをするしかないし、ささやかなステップはいつか必ず大きな意義あるゴールにつながるはずだ。

脱プラスチックを日常生活に取り入れるにはうってつけのガイドブック。

「これならすぐできる!」という手軽なものから「ここまでは無理や…」とたじろぐほど徹底的なレベルまで、家の中のある/家に入ってくるプラスチックを減らすためのアクションがまとめられています。個人にできることに限りはあるけど、やろうと思えばここまで減らせて、プラスチックの代替品の選択肢もこんなにあるのか!と勉強になる。

この本ではプラスチックから漏れ出す有害化学物質と、それによる人体への悪影響についてもかなり詳細に書かれています(情報量にけっこうクラクラします…)。私はこの悪影響への恐怖心から、とくにキッチン用品・食卓周りからはプラ製品をかなり減らしました。食品保存はガラス容器を使って、プラ容器は電子レンジに絶対かけない…。

生活からプラスチックを完全にゼロにはできないけど、「減らしたい」と意識すれば方法はたくさんあるよと教えてくれる一冊です。

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「利他」とは何か(集英社/2021)

分野の異なる5人の研究者による、「利他」についての五者五様の論考集です。
「利他」をめぐる考え方に迫りながら、「利他」が持つ可能性だけでなく、負の側面や危うさも含めて考えなおす重要性に焦点を当てた本になっています。

 

みなさんも日常のなかにひそむ利他的な関係のおもしろさや奥深さ、あるいはその難しさに、目を向けていただけたらと思います。本書はあくまで出発点であり、思考の「種」にすぎません。さあ、いったいどんな利他の景色がみえてくるでしょうか。

 

見たことない「利他」の景色、この本にあります!
なかでも伊藤亜沙さんの章では「効果的利他主義」という利益を動機とする利他主義(!)について述べられてるんですが、これには私の抱いていた利他主義のイメージ(自分ではなく、他者の利益や幸福を考える)が見事ひっくり返されました。だけれども、世の中の現状や私個人の体験と照らし合わせてみても、かなり腑に落ちる考え方になっていました。「利他主義」にも多様性があることの驚き…!みなさんはどう感じるか、この章だけでもぜひ読んでみてほしいです。

 

驚いたことがもうひとつあります。

どのROUNDかは失念してしまったんですが21-22シーズンのパフォーマンス後のコメントで、淳さんが「観ている人が何を感じても、それが正解」という意のことを話されていました。何をどう感じるかを、観ている人にゆだねる。これって受け手を信頼する勇気がないと出来ないことだよな…と、このとき思ったんです。

偶然にも、利他に不可欠なものに「信頼」があると述べている箇所がありました。

 

信頼するとき、人は相手の自律性を尊重し、支配するのではなくゆだねているのです。これがないと、ついつい自分の価値観を押しつけてしまい、結果的に相手のためにならない、というすれ違いが起こる。相手の力を信じることは、利他にとって絶対的に必要なことです。

 

利他の大原則は、「自分の行為の結果はコントロールできない」ということではないかと思います。やってみて、相手が実際にどう思うかは分からない。分からないけど、それでもやってみる。…「自分の行為の結果はコントロールできない」とは、別の言い方をすれば、「見返りは期待できない」ということです。

 

アルトリと作品の受け手との関係性とも重なるのでは…?とハッとせずにいられませんでした。
私の考える、アルトリの作品の大きな特徴であり魅力は、観る人に想像をはたらかせる「余白」です。それが「わかりやすさ」からは離れ、「解釈の自由」をもたらしてくれていると思っています。偶然か必然か、その余白にこそ利他の原則がある…という見方もできる。思わぬ発見でした。

 

利他に関する本は、とくにコロナ禍以降にたくさん刊行されていて、どれも面白そうなんですよね…。土井善晴のこちらなんかも、見たことない利他の景色の匂いがする。

 

長々と拙い文章を、ここまで読んでいただきありがとうございました!

WE ARE ALT-RHYTHM!!