二人乗りの自転車はどこまでも行けたのさ

取り留めないことだらだらと

甘酒が好きですっていう話

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3年ほど前に炊飯器を捨てた。

ご飯を炊くたびに内蓋を洗い、本体の水滴を拭き取る面倒から解放されたいというモノグサな理由からだ。

しばらく空席状態だったキッチンワゴンに、昨年の秋、新たな調理家電が座ることになった。

発酵フードメーカーだ。

 

数多ある食べ物の中でも、個人によってものすごく好きか嫌い(苦手)に好みが真っ二つに別れるものがあるなと感じていて、それらを勝手に「二極化フード」と呼んでいる。

ここで言う「好き」は「好きか嫌いかで言えば好き」の程度ではなく、自ら欲しており、店先で偶然見かけようものならすかさず手に取り、特定のメニューを目当てに店を選ぶ、などという「その食べ物により自発性が促されるレベルで好き」を指す。

 

私の好物の中でもこれは二極化フードだなと感じる食ベ物トップ3は、チョコミントパクチー・甘酒だ。

 

チョコミントパクチーは、そのブームと連動して好物になった。

しかし甘酒は幼い頃から大好きで、舌にも鼻にも目にもその温かな温度にも、体感が慣れ親しんだと言っていい飲み物だ。スーパーに昔から並んでいる、袋入りの濃縮タイプの甘酒。袋には蓑の雪傘を被った小さな女の子がプリントされていて、絵本に登場するような優しい絵柄だった。冬になるとそれを母が好んでよく飲んでいた。一緒に飲むうちに私の方が甘酒好きになってしまい、冬にはよくねだっていたのを覚えている。

ここ数年ほどで甘酒は健康食として注目されるようになった。袋入りの他にも紙パック、ペットボトル、フリーズドライなど幼少期の頃に比べたら驚くほど形態も品数も増えて、手軽に飲めるようになった。

帰省して母の家に寄ると、母は必ずペットボトルの甘酒を手土産に用意してくれている。

 

そんな甘酒を米麹・ご飯・水だけで作れてしまうのが発酵フードメーカーだ。"発酵"フードメーカーなのでヨーグルト、塩麹サワークリーム、味噌…などなども作れるけれど、完全に甘酒専用製造機として稼働してもらっている。

米麹はスーパーよりネットの方が安く多く買えるので月初めに一月分を買う。

ただ炊飯器がなく米が炊けないため、最初は米麹と水だけで甘酒を作っていた。

しかし定年退職後に本格農村ライフを送るようになった父から、父の田んぼで採れた米が届いたことを機に鍋でご飯を炊くようになった。炊き方を調べたら12分炊いて12分蒸らすだけだった。簡単すぎる…。おこげが偶然上手くできると、生きてて茶柱立った経験ないけどこんな感じか?というプチ幸福感を覚えるし、鍋なら洗うのが面倒ということもない。

きちんとご飯も加えて作った甘酒は、甘みもどろりとしたまろやかさも全然違った。

 

毎週日曜は甘酒を仕込むことが習慣になった。夜にフードメーカーのスイッチを入れ、お風呂に入り寝て起きると甘酒が出来ている。これをどぼどぼと小鍋に移して火にかけ、沸騰直前まで温める。そのまま沸騰しないように、かき混ぜながら5分ほど温める。こうすると日持ちが伸びて甘みも増すのだそうだ。

かき混ぜる手とコンロの火を止めると、それが合図みたいに甘酒から湯気がむわむわと立ち昇り、素朴な甘みを纏った香りが一気に解放される。私の月曜日はこの香りに包んでもらうことから始まる。

こんなこと書くのはなんだか気恥ずかしいけど、この瞬間が堪らなく幸せなのだ。狭い部屋の隅っこで、空が白んでるこの時間、起きたばかりでまだ何の刺激も受けてない五感と脳に、慣れ親しんだ香りと湿度が染み込んでくれるこの瞬間が幸せだ。

 

こうして作り置いた甘酒は、その日の気分で混ぜるものを変えながら飲む。豆乳+ココアが基本は定番。栄養と美容に最強に良さそうな感じがする。豆乳は腹持ちもするし。

抹茶やほうじ茶パウダーを混ぜてももちろん美味しい。無糖ヨーグルトに混ぜるのも美味しい。いろいろと試して大発見だったのは、インスタントコーヒーだ。甘酒一杯に小さじ半分くらいを混ぜる。牛乳がカフェオレになった感じで美味しい。あとスタバのエスプレッソショットに近いと思う。甘々のフラペチーノやモカエスプレッソの苦味をちょい足しすることで、甘みを穏やかにしてくれるアレ。

でもこのちょい足しインスタントコーヒー法は「甘酒 ちょい足し」で検索すればすぐ見つかる情報だ。でも私にとっては自分で試して見つけたレシピなので、大発見ということにしておく。

米としては雑穀米のご飯で作ると、また味わいと歯ざわりが変化する。最近までは十六穀米で作っていたが、27穀米と30穀米を某セールで見つけてしまい即カートに入れた。何穀米まであるのか分からないけど、30穀越えを見かけたらきっと買ってしまうと思う。炊飯器を捨ててからの方が米選びが楽しくなっている。お父さん、秋にはぜひまた米を送ってください。