日食なつこ初の展覧会「エリア過去」に行ってきた。
手書きの歌詞ノートやら過去のライブ衣装やらあれやこれやがお披露目されるということで、それはそれはもう楽しみにしていた。
会場のランプ坂ギャラリーは廃校になった旧四谷第四小学校跡地を利用したギャラリーで、地域住民の方々により運営されている。
レンタルギャラリーは都心にいくらでもあるけれど、地域色のあるロケーションから何とも日食さんらしさを感じてしまった。
会場のある小学校跡へ到着すると、自然と脳内で「廊下を走るな」が流れ出す。
校舎の階段を下り、地下にあるギャラリースペースへ。
まずは過去のライブ衣装が展示された楽屋フロア。
蒐集大行脚ツアーの垂れ幕と再会。
スマホのアルバムを探したらあった。
歌詞のメモなどが展示された「制作部屋」へ。
あの鸚鵡の仮面とも再会。
これもTwitterを探したら写真上げてた。6年前の時差呆け矯正ツアーのときの。ラストの「矯正完了!」の一声かっっこよかったなぁ…
2018年ライブ初めは日食なつこ嬢!行ってきます~ pic.twitter.com/c91rUCT7JD
— ヲキ (@pokka_ven) 2018年1月8日
紡がれる情景も旋律もひたすら美しくてせつないやえ。
コロナ禍で制作された音楽のすゝめ。
ヘールボップもあった…!容赦なく黒く消して、言葉を追い求めた跡がすごい。
私が日食さんを初めて知ったのは、たまたま、本当にたまたま、普段はタイムフリーでしか聞かないのに、たまたまつけたラジオから流れてきたヘールボップがきっかけだった。たしか篠原ともえさんの番組で、星にまつわる曲として紹介していた。一聴惚れだった。あの曲がこの紙片から生まれて、一リスナーの耳まで届き、その私が今この紙片を目の前にしている。何とも言い難くて、胸が熱くなる。
わたしの中で至高の発破ソングであるログマロープ。発奮レベルの高い歌詞に反して筆致はクールに見えた。なんと「まぐろ丼」が仮タイトルだったよう。
歌詞のメモはノートのほかに、手近にあった紙に急いで書き取ったものもあった。そちらのほうが、言葉を取り逃すまいとしてか強く荒く走るような筆致だった。
っは〜〜…!!となりながら眺めたメモ。言葉を貯蔵している.....。
会場のお客さんのなかには、実際に曲を聴きながら歌詞に見入る人もいた(音が漏れてた)。今ここでしかできない贅沢。
プライベートルームのフロアに入ると、プライベートの写真(L版サイズ)が壁面に貼り巡らされていた。日々の食事、空模様、自宅のピアノや家具、スタッフが撮ったとおぼしきオフショットたち。
さらに奥に進むと、日食さんが作成した日々の生活や音楽活動のVlogが上映されていた。楽屋での様子、ステージで歌う姿、自宅の雪景色が映る窓のそばでピアノを弾き歌う姿、台所に立つ姿などなど。日食さんて草刈機で雑草を刈ったり車のホイールを交換したりするんだ…と不思議な親近感が湧いた。刺激的で便利な都会の生活を手放した、日食さんの生活の手触りが感じられるフロアだった。
満喫しきったところで、さぁグッズを選ぼうと楽屋フロアへ戻る。
万年筆の試し書きのメモ用紙は「〇〇県から来ました!」などのメッセージや感想の寄せ書きコーナーとなっていた。komakiさんによる「komaki参上!!」の書き込みもありにんまり。
クリアファイル、花鳥域キーホルダー、フォトブックをお買い上げ。どれもかわいい。
名残惜しいけど帰るか…と階段を上ろうとすると、踊り場に、見慣れてないのに知っている後ろ姿がありギョッとした。日食なつこさん御本人である。会場のスタッフさんと話していた。絶対御本人だ……!!!けど、お忙しいだろうし気づかないふりしておこう…と脇を通り過ぎようとした。わたしは街中やイベント会場などで好きな人を見かけても、気づかないふりをする設定が固定されてしまっている。話しかける勇気がないからだ。今回もそうしようとした。しかしなんと「ありがとうございました」と日食さんから声を掛けてくださった。やっぱり御本人だった。足を止めて、涙が出そうなのを必死で堪えながら真っ白な頭で感想を伝えた。「本当に大好きで…」と聞いたことのないしおしおの震え声が自分の口から漏れた。こんな声出るんかいワレ。日食さんの楽曲に出会ってからこれまでの数年間、どれだけ背中を叩かれ、奮い立たされてきたことか。しっかり立ちながらも揺らぐことの大切さを教えてもらったことか。日常で目に映る情景の美しさを切り取ってもらえたことか。日常を離れて遠いところへ心を旅立たせてもらえたことか。嘘のないまっすぐな言葉の数々に支えてもらったことか。気持ちばっかり溢れて全く言葉にならなかった。
またライブに行けるのを楽しみにしてます、と最後に挨拶すると、両手で握手を求めてくださった。
最後にとんでもないサプライズが待っていたけれど、とても良い展示だったなぁと反芻しながら駅へ向かった。日食さんのこれまでの道のりを辿り、これからどこへ泳ごうとしているかの期待が膨らむ、過去と未来の両方がある展示だった。わたし自身も展示を見ながら、この文章を書きながら、過去を友泳できた。
15周年おめでとうございます!!アニバーサリーイヤー満喫するぞ。