二人乗りの自転車はどこまでも行けたのさ

取り留めないことだらだらと

D.LEAGUE 22-23 ROUND.2感想

10月19日に開催されたROUND.2。今回も気になったチームのパフォーマンスの感想をおしゃべりします。

 

 

Benefit one MONOLIZ

 
 
 
 
 
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テーマを聞いてまず頭に浮かんだのはサントリーのアプローズ。よっぽど懐が温かい人がよっぽど本気で本気のプレゼントをしたいときしか手を伸ばさないような、希少価値もお値段もプレミアムな薔薇。店頭にはまず出回っていないので、昔に地元の小さな生花店に並んでたのを目にしてギョッとしたのを思い出した。

www.hibiyakadan.com

www.suntorybluerose.com

このサントリーのページのなかに「『誰も見たことがないなら、見てみたい』という
純粋な夢からスタートしたチャレンジ」とあるのですが、今回のMONOLIZはわたしにとって「見たことがないMONOLIZとダンス」がまさに詰まってました。

まず楽曲がフラメンコギター!音楽のジャンルが今までのDリーグにない感じ!しかもそこにハンドムーブ中心の振付を組み合わせるダンスは初めて見たので、もう新感覚だった。だってフラメンコといえば踵をカッカッと鳴らすイメージが強かったもので。でもって「赤」のイメージが強いあのMONOLIZが、鮮やかな深いブルーの衣装を纏ったのもすごく新鮮だった。

色気のあるフラメンコギターの旋律に、力強くも華麗に舞うハンズ、ドレスの美しい裾さばきに見惚れてると0:47で大きく体を反ってピタッと時間を止めに来て、この思いもしなかった「間」に呼吸が止まるんですよね…。

そして身体のラインやポージングを美しく魅せてくる印象の強いMONOLIZが量感のあるドレスを捌く姿も、美してかっこよくて新鮮でした。1:18で7人がバッと屈んだところがCheriさんが海を渡ってるみたいでかっこよくって、ドレスにそんな使い方が…!と驚いた。

薔薇の花びらを舞い散らすのも、薔薇を咥えて踊るのも、MONOLIZだから似合ってて成立してる世界で最高…。MONOLIZの持つ「美」に新しい彩りが加わったと感じさせてもらえるショーでした!

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そうあと最後にもうひとつ!!今季のMONOLIZのテーマ曲、最後が「get ready?」からの劇場の開演ブザー音で終わるのが痺れるくらいセンス良すぎて天才すぎて最高です…こんなにも向こうの世界へと連れてってくれる引力絶大な終わり方ないよ…

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CyberAgent Legit

 
 
 
 
 
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www.instagram.comROUND.1ではFISHさんディレクションの作品で勝利を収めたLegit。21-22シーズンでも、FISHさんの作品は*1高ポイントを記録していました。Legitも推してる身としては初戦で勝ってくれて素直に嬉しいものの、ちょっとだけ気掛かりだったんです。今季はFISHBOY色を押していくのだろうかと…。というのも、わたしはTAKUMIさんの作るシリアスでピリッとした作風も大好きだからです。

そんな心配を見事にフッ飛ばしてくれたのがこの予告編。FISHさん(注:ディレクター)を突き放すなんて演技をしてまでTAKUMIさん登場の期待を煽ってくれました。

youtu.beテーマは「RESISTANCE」(抵抗、反対) 身分の低い者(KANATOさん)が権力者(TAKUMIさん)に打ち勝つストーリー。この役回りに新メンバーで最年少のKANATOさんと、リーダーであるTAKUMIさんを当てたのにもグッと来ます。KANATOさんはこの役のために食事制限で減量したそうです。プロ〜…!!

 

玉座で脚を組むTAKUMIさん。もう既にワルい。いいぞいいぞ。その周りを囲う地獄さんたち。ぶらんと吊るされた操り人形みたいなポーズなのが、権力に従うだけで心ががらんどうな取り巻きだと伝わってくる。この4人の間を波が伝播していくような振りを見せながら、KANATOさんへと視点を誘導する流れがかっこいい。

enaさんからの一発で勢いよく横転するKANATOさん。予備動作なしでこんなに勢いよく転がれる…?KANATOさんて身体能力の高さが突然ひょっこり顔を出すことがあるのでハッとします。

中盤での鍵盤のメロディーに乗せたKotoriさんAYUNAさんのWAACK、それこそ鍵盤が指で叩かれたみたいに飛びシャチでウェーブを作る6人、ここのステージの端から端まで使って流動的に見せたところがすごく好き。

終盤でついに対面するTAKUMIさんとKANATOさん。凶器も持たず体に一切触れてないのに、TAKUMIさん滅多刺しにされてるのが分かるのすごいな…POPでこんな表現もできてしまうのかと驚いた。ラストスパートをかけるKANATOさんの迫真の表情とダンスも素晴らしかったです。SWEEP達成おめでとう〜〜〜!!!!!!

 
 
 
 
 
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LIFULL ALT-RHYTHM

 
 
 
 
 
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youtu.be美しいサムネ…。

タイトルのWINDは「曲がりくねる、うねる」の方の意味とのこと*2

初見の印象は、もうただただ漠然としてしまって、これはちょっと手がかりがないと読み解けない…というのが正直な感想でした。見たけど観れてない。でもアルトリの作品の堪らないところは、観た人をスッキリさせずに「気になる」を置いて行ってくれるところです。「理解したい」欲にバッチリ駆られました。

読み解きのヒントはいねが〜とインスタをチェックしていると、スタイリストさんとヘアメイクさんからのコメントが。

 
 
 
 
 
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www.instagram.comスタイリストさん方の細やかさが伝わる丁寧なコメント…。衣装の主体となっている手編みのロープから、「糸」が作品を読み解く糸口になりそう?とピンときました(糸だけに)。いく筋もの糸が縒り合わさってロープができるさま、手で網目を編むさまが、WINDの「曲がりくねる、うねる」と重なったからです。糸と糸が並んだだけではそれらは出来ない。うねり合って交わることで、紐や縄になる。

衣装の編み目が一体一体異なることは、ダンサー(=人間)一人一人が異なるルーツを持っていることを具現しているようにも思えました。

そして楽曲のタイトルである「culture」とその歌詞。「糸」をキーと考えてみると、ここでのculture(文化、芸術)は「人の手により編まれてきたもの」とも捉えられます。衣服、手工芸品、文章や歌といったものたち。長い歴史のなかで連綿と継がれてきたもの。

それからダンサーの顔に書かれたアラビア文字は、どうやら一人一人言葉が違う様子*3。そのことから、メンバーが「調和.文化.未来.侵略.融和.故郷.祈りetc」そのものとしてステージに立っていると考えました。世界を構成しているそれらがステージに顕現しているようなイメージ。

こうしたイメージやトレーラーのキャプションを胸に落とし込んで作品を見返してみると、それまでと違った光景が目に映ってきました。以下は私なりに読み取ったイメージと解釈です。

もっかい貼っちゃおう

youtu.beスタートの引きの画。真っ暗闇の中でぼうっと光を帯びる7人は、さながら宇宙に浮かぶ星のよう。地球であり世界。固く結ばれたり解れたりを繰り返しながら脈打っている。背を丸めていたcalinさんが起き上がり、世界のなかへと入っていく。このcalinさんからは「世界に新しく生まれた命」のようなイメージを受けました。calinさんだけが黒地の一切ない真っ白な衣装を纏っていることから、彼女は無垢な存在であり、世界にとっての「違和」なのではないかと。

1:40〜世界の荒波に揉まれながら、世界を感じていくcalinさん。歌詞の「Here's the new culture we create something out of chaos」の「chaos」の声とともにカリムさんの手を掴む。ここでは全員が祈るように両手を握っていることで、歌詞のメッセージに重さが増す。

2:22〜相対する白と黒。対立しているようにも、互いのバイブスを感じながら高め合っているようにも見える。

2:40〜世界に背を向けたcalinさん。失意からなのか地に膝をつく。その間も世界は複雑に絡み合って、解けて、結び目を変えて新たな形へと変わっていく。世界とcalinさんは同じ方向へ目を向けて、光に手を伸ばす。

前半ではぼんやりと視線を遠くにやっていたcalinさんの表情が、どこか決意を帯びたものに変わる。最後のユニゾンからは「共存」のイメージが浮かびました。音楽とダンスが、ルーツが異なる人々も、分断された人々をも結びつけ、一緒に体を揺らすことのできるcultureなんだと。

 

…なんてことを考えたりしたものの、純粋にダンスとしてかっけ〜〜〜〜〜!!!と最後には思いました。体使いがしなやかでパワフルで、体が激しく上下に揺れたりターンするたびにフリンジの動きがめちゃくちゃ映えててかっこよかった。メッセージとダンス両方の強さが響く作品でした。エンパワーメントしてくれる歌詞もかなりグッときた…。

今作のようにアルトリは社会背景を踏まえた作品も作るチームで、そのスタイルがチームのcultureとしてどんどん大きく育ってくんだろうなぁ。楽しみ。linkco.re

dip BATTLES

 
 
 
 
 
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youtu.be個人的にこのROUND.2で断トツのインパクトを残してくれたチームでした。

まず白のセットアップの衣装。Battlesは黒のレザーとか化繊が似合うってことはたぶんみんな知ってたけど、白のコットン(イメージ)の揃いも似合うなんて知らなかったじゃないですか…。そして血色の失せたヘアメイクも。どこか違う世界線のBattlesが来たんじゃないかってくらい異様さと意外性にワーっとなって、登場した時点で持っていかれました。とくにUMIさんがUMIさんだと最初わからなかった…

どこかの研究施設に集められた実験体みたいな、クリーンなのに不健康、明るいのにダークな世界観。切れかかってる蛍光灯がチカチカしたような照明と、0:50で7人が一気に起き上がる動作とその余韻の揺れが不気味すぎて最高…。0:47からKENSEIさんがメインでありながら敢えて照明を落とした暗がりのなかで生気を抑えて踊っていたのにはゾワゾワした。

この日のBattlesの対戦相手は8ROCKS。パワフルでエネルギッシュな8ROCKSのスタイルの逆を突く戦略で、陰で繊細なこの作品が作られたのではと思います。その挑戦がこれまでにない新しいBattlesのスタイルを作ったこと、それが見事完璧にチームにハマっていたこと、つい息を潜めながら一点をじっと食い入るようにダンスに見入るという体験ができたことが、個人的にすごく大きな感動がありました。

そしてメインを務めたKENSEIさん。これまでのKENSEIさんメインの作品*4はキャラクターが強かったですから、今回の方向転換っぷりは凄すぎる…!チームはもちろん、KENSEIさん個人のスキルの高さ、表現力の幅と深さをしっかり刻みつけられました。チーム初のMVDおめでとうございます!!!!

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