二人乗りの自転車はどこまでも行けたのさ

取り留めないことだらだらと

D.LEAGUE 22-23 ROUND.7「HANG OUT」だけの感想

1月25日に開催されたD.LEAGUE 22-23 ROUND.7。その感想をおしゃべり…するつもりだったのですが、今回はアルトリの作品「HANG OUT」についておしゃべりします。あれこれ考え出したら止まらない作品だったんです…!ダンスの話はほぼしてません。

 

ROUND7の結果はこちら。SWEEP勝利が5回も出るというSWEEP祭りなROUNDでした。

第一生命 D.LEAGUE 22-23 ​ROUND.7 結果 | D.LEAGUE(Dリーグ)

 

 

HANG OUT

Teaser

www.instagram.com最後に半世紀も時空を超えたのがあまりに唐突でちょっと笑ってしまいました。50年…!!ストリートスタイルがみんな似合っててかっこいい!calinさんのオーバーオール姿かわいすぎません??ちょっとトガってた頃の、違う世界線のアルトリって感じで楽しめました。そしてSPダンサーはROUND.3*1で回り続けたAichiさん!

アルトリラブレター

恒例のアルトリラブレター!aRBの今季の作品であるWhatchagonna do?、ストレズ*2、Foppery*3を織り交ぜたラブレターでした。今思えば前文をWhatchagonna do?でビシッと締めていたのは、作品の内容への伏線だったとも取れるかも…??

 

そしてaRBからのお返事!そのままデジタルサイネージ広告に使えそうなくらいスマートでおしゃれだ〜!こちらはDANCE‼︎!*4、News*5、culture*6Fate*7、Latidos del corazón*8と、アルトリの楽曲のタイトルをもりもりに盛り込んでくれました。

 

本番

youtu.be入場でまずびっくり。50年後とはそういうことだったか…!みんなおじいちゃんになってもうた!!名前のテロップに合わせてケリーさんがコールしてくれても、「そ そうなんだ…?」と半信半疑になりながらおじいちゃん達を見守るしかなく。でもSu-yangさんだけはご本人とマスクの髪型が似ているせいか「あ…Su-yangさんだ」とスッと受け入れられました。

正直に感想を言ってしまうと、初見はとにかく「不気味」「シュール」という感触でしかわたしは受け取れませんでした。1:50〜全員が正面向いてこっちへやってくるところで既に「不気味」がピークになってしまい…。表情の無いマスクを被っているのと陽気な楽曲とのギャップで、終始もぞもぞした気持ちで観てました。

でも何度か見返して、マスクも見慣れて「不気味」が薄れてきた頃に、自分なりの見方や考えが浮かび上がってきました。それを書いてみようと思います。

aRBのオマージュだった?

youtu.beaRBが今季のROUND.2で踊った「Whatchagonna do?」は、おじいちゃん、おばあちゃんの動きや仕草を題材にした作品でした。SNSでの反応を眺めると、アルトリはこの作品をオマージュしたのではないか?という声や、aRBと比較した感想がよく見られました。

しかし実際のところは「おじいちゃん」テーマの作品を出すことはオフシーズン中に決定していたそうです。

しかしaRBがまさかのおじいちゃんネタを披露→騒然となるアルトリ。おじいちゃんされた!!どうする?!?→おじいちゃんマスクの製作も進行中→量さん「やるしかない」→RAPTURES戦に当てる予定を、敢えてaRB戦へ変更

…という経緯だったようです*9

どの対戦相手にHANG OUTを当てても、aRBと比較されるのは避けられなかったでしょう。きっと分かりながらも量さんは決断し、メンバーも覚悟のうえで踊りきったのではないかと今となっては思います。敢えてaRB戦に当てたことで観客に「オマージュ」という視点が加わってしまったのは、思わぬところに出た裏目だったのかもしれません。

Whatchagonna do?とHANG OUT、それぞれの老人像

Whatchagonna do?はaRBのメンバーがその人として年老いた姿で登場し、ご高齢でありながら現役ばりに元気に踊っているというギャップと、ドリフのコントのような仕草が盛り込んであったところがとってもファニーな作品でした。「かばおさんがおばあちゃんが大好き」であることがきっかけで作った作品だそう*10。「メンバーが老人役」であったことにポイントがあると思います。

 

対してHANG OUTは顔も体型も隠れた衣装なので誰が誰だかわかりません。「2分15秒ずっと誰が誰だかわからない作品」って結構な賭けだと思うんです…メンバーの個性が消えてるので作品の世界観は強固になりますが、ファンの満足度は下がります。だってそりゃ好きな人たちの顔を見たいじゃないですか…!!

マスクを被せたのは、おじいちゃんたちの表情を、見ている人の想像に委ねる意図があったようです*11。このことから、アルトリがDリーグのステージに立たせたかったのはメンバーではなくむしろ「老人(一般人)」だったのでは?という見方も浮かんできました。見ている人が自分の思う老人像を重ねられるように、衣装も白(ベージュ?)で統一して無個性にしたのではないかと。

 

“誰”のための作品だったのか?

アルトリのチーム紹介文にはこんな一文があります。

LIFULL ALT-RHYTHM【Dリーグ公式】

ファンや観客だけでなく、パフォーマンスを支える“あらゆる人”のために、活動するダンスチームです。

HANG OUTでAichiさんが車椅子に乗って登場したとき、わたしはSplendor*12視覚障害者を演じたIkumaさんを思い出していました。白杖を突いたIkumaさんが映ったとき、「“あらゆる人”とは、この社会に生きるすべての人のことか」とハッとしました。同時に、それまで「“あらゆる人”=健常者」と無意識に認識していた自分に気づき、何とも決まりの悪いのような気持ちも湧きました。

ではHANG OUTは強いて言えば“誰”のための作品だっただろう?と考えてみました。わたしは、「高齢者」ひいては「やがて老いるわたしたち」への作品のように感じました。「老い」は誰しもに必ず訪れるもので、視力が落ちる、耳が遠くなるといった障害を多かれ少なかれ抱えることでもあります。自力で歩行が困難になり、車椅子で生活する身体になるかもしれません。しかしどんな身体になっても、目的の有無にかかわらず集まれる場所があること、声を掛けてくれる仲間がいること、50年前の思い出を一緒に振り返ってくれる相手がいること…そんなゆるやかな繋がりがLIFEをFULLにしてくれるんだなと思えました。

「本当はまだ回れるんだろ?」との仲間からの誘いに、車椅子に乗るSpinboyは「もう昔の話さ」としんみり返します。しかし「みんな楽しみにしてるぜ。あとでサイファーでな!」と仲間は一方的に電話を切ったあたり、彼が回れるかどうかなんて本当はどうでもよくて、ただ仲間同士で集まりたかっただけなのかもしれませんね。このやり取りが一方的な感じもなんかお年寄りっぽいです(ど偏見)。あのおじいちゃんたちの思い出のなかでは、50年経てもなおSpinboyの勇姿は色褪せていないのでしょう。自分の活き活きとした姿が、何年経っても誰かの思い出に残ってくれてるというのは、とても有難いことで心の支えになります。

急に話が変わるんですけどわたしの家の近所には大きな川が流れていて、晴れた休日なんかには川辺でお年寄りの方たちが集まって体操をしたり、椅子と机を並べて将棋を指したりしてます。この間もその光景を見て、これもHANG OUTだなぁと思ったりしました。

 

最後に、直也リーダーおじいちゃんとファンサをもらって嬉しそうなメンバーがソーキュートでした…直也さんはいつ何時も世界観を貫いてて本当プロ!!

 

 

HANG OUTのダンスプラクティスはこちら

【Dance Practice】"HANG OUT" D.LEAGUE22-23 ROUND.7|LIFULL ALT-RHYTHM - YouTube

 

Behind the scenesはこちら

【Behind the scenes】ROUND.7 D.LEAGUE 22-23|LIFULL ALT-RHYTHM - YouTube