二人乗りの自転車はどこまでも行けたのさ

取り留めないことだらだらと

Nintendo Switchと理想の休日

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その日は友人と一緒にスマブラをする約束をしていた。Switch本体は友人が我が家に持参してくれる。

丁寧にも箱に入れて持ってきたと、マリオの帽子のマークがプリントされた真っ赤なパッケージを友人は床に置いた。「開けてみて」 と言われ、素直に開ける。ピチッと皺のないビニールに包まれた本体と、蛍光ブルーとイエローのコントローラーがお行儀よく窪みに収まっていた。

ここで疑問が浮かぶ。友人のSwitchはLet’s Go! ピカチュウイーブイ仕様のモデルで、コントローラーがその2匹の色を模したイエローとブラウンのはずだ。はて…?とぽかんとしてると、なんと私へのプレゼントだった。マジか。

 

友人と私は歳が離れている。初めて出会った頃、私は20代半ばで友人は10代だった。ゲームやカメラなどの共通の趣味と、何より友人の人懐こさが私の高警戒レベルの人見知り城郭を陥落させてくれたおかげで仲良くなった。出会ったのは地元だが、打ち合わせてもいないのにほぼ同じタイミングで上京していた。現在は住む沿線も同じである。私は30代に突入し、友人は20代半ばに差し掛かった。

 

そしてこの「30歳になった大人が家庭用ハードゲーム機を年下の友人からプレゼントされている」という状況にハッとなり、照れくささが爆発した。しかし新品のSwitchを目の前にしてワクワク高揚感が抑えられるはずもなく、照れくささと高揚感がないまぜになった。訳が分からず体が床に転がった。

遊ぶ時間は昔に比べ激減してしまったが、いくつになってもゲームは好きだ。ていうか素直にSwitch欲しかった。超欲しかった。PS4持ってるけどやっぱり Switchも欲しかった。なんてったってSwitchはインディーゲーム*1のダウンロードソフトが特段豊富なのである。Switch持ってないくせにIndie Worldはチェックしていた。

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ドット絵とローポリゴンに安心感を覚える世代なので、実機で遊ばずとも見ているだけで楽しい。

Switchは2人で遊べて操作が簡単なゲームも多い。「子どもの頃のように友達と日がな一日のんびりゲームする休日を過ごす」ことが、ここ近年に湧いていたちっちゃな夢だった。それを叶えるにうってつけの現行ゲーム機はまさにSwitchだった。

20代半ばを過ぎた頃から、「ゲームをする時間」が気がつくと日常から離れていた。ゲーム以外の趣味が充実したという喜ばしい要因もある。それでもゲームが非日常化しつつあることが、心地良いものを手放してしまっているようで少しだけ寂しかった。

そんな折に半ばサプライズの形で、私のちっちゃな夢を叶えてくれる機会(機械)を友人からプレゼントしてもらえたのだった。マジか。

 

そして友人のSwitchでスマブラで大乱闘した後、もらったばかりのSwitchでCupheadをダウンロードして遊んだ。

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初期ディズニー映画を思わせるおしゃれでファニーな絵面をしてるものの初見殺しなステージばかりで、二人で「あー!(驚)」「あー!(悲)」「あー!(怒)」とバリエーション豊かな「あー!」をひたすら叫んでた気がする。

「うあー死ぬ死ぬ!」

「待って助けて!」

「避けらんないんだけど?!」

「やばいここ苦手無理!」

などともう夜中にも関わらず声を張り、ステージをクリアしたときにはハイタッチして喜びあった。これだ、こんな休日を過ごしたかった…。とにかく楽しかった。「友人とゲームをする」という、休日の過ごし方が豊かになる一色がこうして増えてくれたことが嬉しい。その時間に付き合ってくれる友人が、30歳を過ぎてもいてくれることがとても嬉しい。友人を見送ったころには23時を回っていたのだった。いくらなんでも付き合わせ過ぎたかもしれない。

*1:インディーズゲーム。個人または少人数の開発者によって作られたゲーム。デジタル大辞泉より